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リヨンレポート

 

リヨン留学2 湯本 宏香様

 

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リヨンの風景
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広々とした遊歩道でそれぞれの時間を過ごしています。
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期間限定の遊具の設置もあります。
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夜景(下の二層は駐車場)
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ホテル付クルーザー
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貨物船
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だまし絵には様々な種類があります。

私は大学で景観や街づくりなどの都市計画について研究段階なので、普段学校へ行くときや遊びに行く際にリヨンを街づくりの視点から見るようにしていました。そこで、私が感じだリヨンのちょっとした街づくりの工夫について紹介します。
 まず、リヨンはフランス第2の都市と言われ約40万人が暮らしている都市なので、都市開発も大規模で行われていました。グラン・リヨン(リヨン都市共同体)という機構がリヨンの発展の基盤となり、インターポールなどの国際的な機関の設置や国際的規模を誇る企業を受け入れて現在の第二の都市とまで言われるようになりました。そして、2つの運河の水の恵みを受け、ローマ時代から長い繁栄の歴史を持ちます。旧市街はルネッサンス時代の建物が多く残っていて1998年に世界遺産に登録され今では観光地として週末はとても賑わっています。紀元前一世紀にはすでにローマ帝国のガリア植民地の中心として栄えていたので、今でも円形劇場などローマ遺跡が残っています。中世からは「絹の街」として知られ、フランスをはじめヨーロッパ各国の王家へと絹織物が送られ経済的にも発展し商業都市にもなりました。また、美食の街、映画の発祥地としても知られています。今もなお、中心の駅のまわりには建設途中の建物や舗装道路があり、リヨンは残された遺産を基盤として新しい街へとリノベーションしている途中なのです。


 リヨンが誇っているものの一つにヴェロというレンタル自転車があります。日本でも見かけるともありますが、リヨンのようにしっかりとしたシステムではないと思います。年会費などの料金体系があり時間内に指定の駐輪場に自転車を戻せば何度でも自転車を利用することができるようになっています。買い物や繁華街、学校など割と狭い範囲に集中しているので自転車があれば1度2度乗り換えるだけど家から自由に回れて環境にも良い生活が出来ます。リヨンの人々はこのように郊外まで行く際は車で出かけ、急いでいる際には電車やバス、運動したい人や綺麗な街並みを見たい人はこのヴェロを使って動いています。なので、私が気が付いたことは個人の自転車をあまり見かけないということです。スポーツをやっていたり自転車にこだわっている人はマウンテンバイクなどを持っていますが、日本のようにママチャリやシティサイクルはほとんど見かけませんでした。街中にも自転車やさんというようなお店はみたりませんでした。車を使ったり、自転車よりも使われている日本でいうところのキックボードが人気なのでママチャリでお迎えというようなこともないのでしょう。

自然との共生:二つの運河沿いには大幅な遊歩道が整備されています。
散歩やジョギングがしやすく舗装されていたり、階段状になっていてベンチ代わりにお昼ねなど休憩をする場所、幅がとってある場所には遊具器具が期間限定で用意されたり、芝生が施された場所ではピクニックをすることが人気なようです。遊歩道の地下には駐車場が整備されているところもあって空間利用が工夫されています。市民に身近な運河沿いの開発は運河が多い日本でも活用できるのではないかと思いますが、子どもの遊ぶスペースもありスケートボードやサッカーなどの球技をして遊ぶ子供がいるなかで柵が無いことに疑問を持ちました。この遊歩道は現在約20キロに渡って舗装されていますが、将来的には50キロまで拡張される予定だそうです。
二つの運河の間にある三角州にはここ最近新しい都市開発が始まりました。現代芸術に触れられる美術館やショッピングモール、住宅地が作られました。最新技術を駆使したこの開発には一企業として東芝や日本人設計士が関わって貢献しました。リヨンの公立図書館の中には都市開発のコーナーがあります。そこでは世界遺産に登録されるずっと前からリヨンの街の変遷を知ることが出来ました。
このように開発が運河沿いで進むことで観光も発展しているようです。南のマルセイユのほうから続くこの運河には周辺国の貨物船やホテル付のクルーザー、イベントの際には豪華な食事がつくレストランクルーザーが多く通ってゆきます。なので、運河沿いの建物はが綺麗に統一された街並みが続きます。12月に毎年行われる光の祭典の際にはその建物にプロジェクションマッピングが催されます。

トロンプルイユ(だまし絵):フランスの壁面アートの中心地

フランスをはじめヨーロッパの街歩きをしているなかで落書きの多さが気になります。はじめは日本とは違ってある意味おしゃれでセンスがいいものに見えていたのですが、綺麗な街並みを写真にする際にはやはり邪魔になっているものだと気づき

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バルコニーも窓も全て絵です。
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ライオンと私

ます。リヨンでも、電車の中やトンネルの中、さらに世界遺産である旧市街の中まで落書きが目立ちます。歴史的建造物を大事にするフランスであってもそうは思わない人もいるわけで、残念な気持ちになりました。そんな中で私はパブリックアートが増えることで落書き防止に繋がっているのではないかと思うようになりました。その理由としては、パブリックアートとされている銅像やリヨンでは有名な壁画の周りには落書きが一斉ないことに気づいたからです。さすがに、アーティストの作品に落書きをする人はいないのですが、その周りにも落書きが無いということは、パブリックアートがあるその雰囲気が大事なのだと思いました。リヨンではだまし絵の技法を使った壁画が350以上も存在していると言われているので、フランスの壁画の中心地と評価されています。観光地にもなっていて、レンタル自転車ヴェロで巡るツアーもあります。

リヨンは都市計画、経済、観光、環境の分野においてフランスの大都市の中で成果が評価されていてフランス国内において住みやすい街とされています。実際、パリに住んでいる友達がリヨンを訪れた時には、リヨンでの留学生活を羨んでもらえたし、リヨン出身のフランス人にもパリに憧れた時もあったけれど、やはりリヨンが居心地が良いと口々に言っていました。私もパリやニースなどフランス国内の主要な都市を訪れましたが、リヨンの暮らしが一番自分に合っているのでリヨンを選択して良かったと思います。