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エクサンプロヴァンスレポート3

 

南仏、映画のこと。


第三回目のテーマは「映画」。南仏は映画好きにとって重要な場所でもあるのです。映画好きなら「ラ・シオタ」に聞き覚えがないでしょうか。南仏の小さな町「ラ・シオタ」、今回のレポートはこの町から始まります。マルセイユのサンシャルル駅から約30分、マルセイユからのバスでは約45分。車ではマルセイユから30分の位置にある小さな港町です。
ルミエール兄弟によって初めてパリで映画が公開されたのは1895年9月。その映画の題名は「ラ・シオタ駅への列車の到着」そう、この町、ラ・シオタで撮影されたものなのです。パリで上映される前この町で先行上映されたという説もあり、正真正銘映画発祥の地というわけです。この映画には都市伝説的なものがついていて、初めて列車が向かってくる映像を見たパリの人々(それまでスクリーンに出された映像を見た事がなかった)がびっくりして、向かってくる列車に轢かれると思って試写会場から逃げていくというもの。この最初に上映された映画や人々が逃げていく様子はマーティンスコセッシ監督の「ヒューゴと不思議な発明」のなかでもシーンとして登場します。繰り返しこの都市伝説を映画好きの父に聞かされてきた私は「ここがあの人々を驚かせ、そして百年以上も魅了し続けている映画の発祥の地か」と思うとなんだかこみ上げてくるものがありました。
そしてシオタには映画が初めて上映された映画館「エデン座」が今も現存そています。この映画館、ガイドブックには外観そのままに2013年に再オープンした、と書いてあり、古いそのままの外見とルミエール兄弟の肖像が壁に書かれている写真が載っていたのですが、実際行ってみたら、なんだか綺麗に改装されていました。ただ、映画は上映しているので、世界で初めて映画が上映されたという「エデン座」で映画を見て、胸を熱くする、映画好きなら一度は行っておくべきかもしれません。 

 

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エデン座。とても綺麗に改装されています。 ラ・シオタの港町。

 


 

 

 

 

 

 

 



 次に紹介するのはリュベロン地方。ここでリードリースコット監督、ピーターメイル原作の「プロヴァンスの贈りもの」ロケ地巡りを。リュベロン地方は同じくピーターメイルの「南仏プロヴァンスの12ヶ月」でも有名な町。映画と小説の効果で夏(7、8月)には人が押し寄せる。また、フランス人だけでなくイギリス人やアメリカ人がこぞって別荘を買い求める地でもあります。バスの便は極めて少ないのでレンタカーを借りると簡単です。一日使ってルールマラン、アンスイ、アプト、ボニュー、ラコスト、メネルブ、ゴルド、ルシヨンの順で回りました。映画に出てきた景色をそのまま見ることができます。アンスイではあのプラタナスの池をみることができます。主人公が帰りたくなくなってしまった気持ちがわかります。

 


ピンク色の町、ルシオンの夕焼け。ここでとれる土がピンクのために建物もピンクの可愛い町。

 


リュベロン地方でも一番人気のある町、ゴルド。最初に飛行機でプロヴァンスに到着するシーンや、他にもたくさんのシーンがゴルドで撮られています。一番観光地化が進んでいる町でもあります。

 


さて、わたしの滞在している町、エクサンプロヴァンスはといいますと、映画館が3つあります。「LE CEZANNE」(セザンヌ)「LE RENOIR」(レノワー)「LE MAZARIN」(マザラン)といいます。セザンヌはアメリカ映画や子供向けの映画などの大衆映画、レノワーは少しマイナーな映画、マザランは芸術的な映画や新鋭映画を上映する、日本でいうミニシアター的な役割です。3つの映画館は一緒に週1回上映スケジュールを出します。共通のチケットの予約などができるアプリケーションもあります。学生は8€、一般の人は10€。フランスは毎週水曜日に新しいプログラムが始まります。フランス映画をいち早く見られるのは嬉しいのですが、アメリカ映画は日本より公開が遅めな気がします。

 


映画の広告はこんな感じで町にでます。

 


 映画館以外にも映画が見られる場所がエクサンプロヴァンスにはあります。図書館です。町で一番大きな図書館「CITE DE LIVRE」(シテドリーブル)では映画が上映できるスペースがあって、毎月テーマを決めて映画が上映されています。私がきたばかりの9月にはウェスアンダーソン、10月はチャップリン、11月は戦争映画、12月はポールニューマン、1月はマルグリットドュラス、2月はエリアカザン、そして来月3月は宮崎駿。こちらは5€。月曜日から日曜日までいつでもいつでも見る事ができます。
他にもこの図書館では「旅」をテーマにした特集がくまれたり、小さい映画祭をやったり、映画ファンには見逃せない場所です。

 

 


図書館の入り口。

 

 


9月のウェスアンダーソン特集のパンフレット。なんだかハイセンス。

 


 南仏は世界三大映画祭のカンヌ映画祭を筆頭にとても映画にゆかりの深い場所。いたるところに映画があふれています。