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第9期奨学生の留学体験レポート

 

松尾様パリ留学レポート

 

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室内
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キッチン
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修道院の中庭
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パンテオン
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ラスパイユ校舎
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サロン・ド・ショコラ

パリに到着してから早くも1ヶ月が経ちました。滞在に必要な諸手続きと並行して授業が開始し、このひと月の時間の経過はあっと言う間でした。10月半ばから吐く息の白くなるパリは既に冬の気配を感じさせ、今や街行く人もすっかり冬の装いです。私の宿泊先は16区にある修道院が経営する宿泊施設なのですが、そこでの生活にも慣れ、毎朝、修道院の広い庭を見ながら四季の移ろいをこれから見ていくのを楽しみの一つにしています。


私が留学先に選んだのはソルボンヌ・フランス文明講座です。日本ではフランス史を専攻しているため、文明講座で行われる歴史の授業に関心があったことと定評のある語学指導に魅力を感じて入学しました。地方ではなくパリを選択したのは、文献史料を蒐集する上でも、蔵書数の豊富な図書館や文書館を活用できると考えたためです。以下、今回はソルボンヌ文明講座がどのような内容であるのかご説明したいと思います。


まず、授業はレベルに応じた内容となっており、事前にクラス分けテストが実施されます。試験結果からDebutant(入門)、Elementaire(初級)、Intermediaire(中級)、Avance(上級)、Superieur(最上級)の5クラスに分けるため、筆記試験と口頭試験が行われます。筆記は文法的な知識を問われるもので、選択肢の中から正解を選ぶもの、語彙力を問われるもの、作文、短い聞き取り、といった内容で、終了した学生から口頭試験に移るといったものでした。その後は、面接官の先生から自身に関する一般的なことを10分ほど尋ねられ、正味2時間程度の試験だったと思います。

 


一週間後にクラス発表の日があり、授業開始、履修登録の流れになります。授業は履修の仕方によって多少異なりますが、私はIntermediaireに配属され、週5日の文法の授業とフランス史や文化史を学べる文明講座、隔週毎にある発音矯正の授業を受講しています。校舎は一箇所ではなく、授業やクラスによって移動しなければなりません。私はパンテオン傍の校舎とRaspail通りにある校舎を利用しています。いずれの校舎も左岸の治安の良い地区で、Saint-Michelの古本屋街やQuartier Latin、Luxenbourg公園が徒歩圏内で、立地条件も気に入っています。


語学の授業に関しては25人程のクラスで、様々な国籍の学生と一緒に学びます。私のクラスは日本人が殆どおらず、イギリス、スペイン、ポーランド、中国といった国籍の学生に囲まれ、日本とは雰囲気の異なる学生達の自発的な姿勢に触発されています。日本では文献購読の機会が多かったため、「話す・聞く」が不得意であり色々と苦労もしますが、非常に細かく文法を教わるため、正しいフランス語を習得するには最適の場だと日々実感しています。
文明講座の授業は、ソルボンヌの先生方がフランス史、美術史、文学史、フランス映画、地理といった内容を講義して下さいます。こちらもクラス別になっており、私は上級者と一緒の講義を受講しているため聞き取るのも大変ですが、非常にアカデミックで興味深い内容です。今、受講している授業ではフランス革命以前の歴史や、フランス地理の一環としてとしてヴェルサイユ宮殿やフォンテーヌブロー城について教わっています。これらは出席をとる授業ではないので、興味のある講義は聴講することも可能です。


以上、簡単にソルボンヌ文明講座のことを説明させていただきました。課題や試験も頻繁にあるため、普段は勉強に充てる時間が多い分、当然、休日のリフレッシュは不可欠な要素となってきます。パリは歴史ある美術館・博物館、建造物が多く、小さな都市ながらも魅力的な場所が沢山あります。個人的にはカルナヴァレ美術館やパリ歴史博物館のあるマレ地区が好きで足繁く通っています。宿泊先から徒歩圏内には、印象派絵画の豊富なマルモッタン美術館やバルザックの住んでいた家があり、街の随所に長い歴史を感じさせられます。また、こちらはパンやお菓子が非常に美味しく、フランスならではの食材に舌鼓を打っては喜んでいます。先日はお菓子の見本市Salon du Chocolatに友達と行って来ました。著名なパティシエ、ショコラティエのお店が数多く出店されていて、チョコレートで成形されたオペラ座やドレスの展示もあり、とても楽しいひと時でした。


勿論、パリで生活するということは楽しいことばかりではありません。あらゆることに丁寧なサービスを施す日本での生活から離れると、フランスの国民性に驚いたり、手続きの遅さに呆れたり、商品の質を日本と比較して落胆することも少なくありません。けれども、パリでしかできないことは沢山あり、欠点を差し引いても私には魅力の溢れる場所であることには変わりありません。この留学を充実したものにできるかは自分次第であり、これから色々な努力が必要だと感じています。勉強は勿論のこと、生活していく上での苦労もまた出てくるとは思いますが、この機会を最大限に生かせるよう前向きに頑張っていきたいと思います。