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第28期奨学生の留学体験レポート

 

小山 柚子様 自己紹介

 

小山 柚子様しばしば幼く見られますが、わたしは大学卒業後、社会人として3年近く働いた経験があります。大学在学中は、フランス語を専攻していました。

 

入学した時は、フランス語を専攻しようとは思っていませんでした。ただ、パン好きが高じてフランス語を第2外国語として選択したところ、複雑な文法がパズルのようで楽しく、2年次でフランス語コースに進学しました。
在学中は、シャンソンやフランス語の語源の講義が好きで、歌詞を読んだり、映像を見たりしたもののレポートを日本語でを書くのが好きでした。フランス文学などにはあまり関心が持てず、聞き取りは英語も含めて大変苦手で、フランス語で書いたり、話したりする作業も避けて通っていました。

 

3年生の終わりに、1か月間フランスのヴィシーに留学に行きました。おもしろいくらいフランス語がするする出るようになったことに、帰国する際に気が付きました。留学はわたしにとって大変有用だと気付いた時には、大学卒業後の進路を考えねばならない時期に差しかかっていました。
キリキリまで、大学院に進学するのか就職するのか迷っていましたが、これといって研究したいテーマが思いつかず、遅ればせながら就職活動をしました。フランス語に関わる仕事にはつきませんでした。自身のフランス語力は到底役に立たないと思っていたからです。教育の分野に興味があったので、大学職員を中心に見ていました。結果、とある医療系の大学に職員として採用され、附属病院に配属となり、事務の仕事をすることになりました。

 

ある日、パリに出張に行くという病院長に、「わたしフランス語やってたんですよ」と話しかけたところ、「それ、なにか役に立った?」と言われました。嫌味でもなく、ただの会話のひとつに過ぎませんでしたが、わたしとしてはなかなか衝撃でした。
医学は実学です。わたしが4年間勉強してきたものとは、明らかに性質が違います。役に立ったといえなくてもよい学問です。ただ、それは「本人が満足していれば」の話だと思うのです。わたしは、自分のフランス語やフランス文化に対する関心が、全うされていないことに気が付きました。だから、わたしは病院長になにも言葉を返せなかったのです。こうして貴重な労働力がひとり病院を去り、フランス留学を決めました。

働いている間、細々フランス語を続けてはいたものの、忘れていることの方が多かったです。仕事を辞めると決めた、昨年の3月ごろからDELF B1の勉強を始めました。4月からは日仏文化協会のクラスにも通い始め、5月のテストでDELF B1を取得しました。もともと大学在学中もすばらしいフランス語力ではなかったので、今の方が喋ったり聞いたりできていると思います。

 

では、働いていた期間がロスタイムかというと、全くそんなことはありませんでした。月並みですが、社会に出てみないとわからないことはたくさんあります。苦手だった電話がとても便利なことを知り、色んな考え方の人がいることを実感しました。特に、自分の時間は有限であることに気が付くことができました。残業もそれなりにあり、通勤に1時間くらいかかり、かつわたしは8時間睡眠なので、平日は働いて終わりです。土日思い切りやれることをやらないと、人生はあっという間に過ぎて行ってしまうと危機感を覚えました。ちょっとでもやりたいと思ったこと、人から誘われたことは、なんでも挑戦しようというスタンスに変わりました。この延長線上に、今の留学があったと感じています。

 

なので、わたしのフランス留学の目的をまとめると、次の3つです。
まずひとつめは、フランス語の面でも、フランス文化の面でも、「全うした!」という領域に達することです。どこまで行けば自分が満足するのかはわかりませんが、例えば語学の面でいえば、目標はDELF C1までフランス語力を向上させることです。文化の面ですと、食文化やシャンソンがもともと好きなので、そういったフランス文化を中心に知識を深めていきます。
ふたつめは、なんでも挑戦することです。今のところは、フランスの方々を見て回りたいです。サバットというフランスのボクシングも気になっています。パンも焼きたいです。フランスで出会ったひとに、日本の文化にも興味を持ってもらいたいです。多趣味なので困ります。
みっつめは、フランス人の生活を間近で感じることです。わたしは、フランスの高い出生率に関心を持っています。大学職員を中心に就職活動した際に、日本の少子化の深刻さを嫌というほど聞かされました。フランス人家庭の働き方、子育ての仕方など、おもしろいヒントが多々発見できるのではないかと思っています。

社会人になっても留学できるのね、と思っているみなさまも、そうでないみなさまにも、今後の人生選択のヒントになるよう、有益な情報をお伝えできればうれしいです。